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いちろぐ。

痴漢師A

第二章 OL・緋川京子 ①


 獲物を求めて桜川駅をぶらぶらしていると、きょろきょろと誰かを探している小田の姿が視界に入った。

 小田は俺の姿を見つけると、小走りでこちらに駆け寄ってきた。

「やあエイジ君、探してたんだよ」
「何か用か?」
「ああ……。実は、君に紹介したいイイ女がいてね」

 そう言いながら、小田が俺の顔を伺う。
 ありがたい話だが、俺にはどうにも引っかかるものがあった。

「ほう。しかしそんなにいい女なら、なぜあんたが手を出さない?協力してくれてるのはありがたいが、俺は他人の獲物を横取るするつもりはないぜ」

 俺がそう言うと、小田の表情がめずらしく曇った。

「あ、ああ…。まあ今回は……紹介というか、お願いというか……」
「ふむ…詳しく聞かせてくれ」

 俺が理由を聞くと、小田はややしゃべりにくそうに語りだした。

 小田いわく、そのターゲットは異常に警戒心が強く、手を出した何人かの痴漢が警察に突き出されたらしい。なんとか仲間の仇を討ちたいところだが、その警戒心の高さから、迂闊に手出しできない。そこで、仲間たちの仇討ちを、俺に依頼したいという話だった。

「なかなか面白そうな女だな」

 まだ相手の顔すら見ていないが、そういった気の強そうな女を墜とすのは、痴漢師にとっての快感を覚えることの一つだ。

「まあさすがのエイジ君でも、もしもってこともあるからね。無理にとは言わない」
「そうだな……、とりあえず、その女が現れる場所へ連れて行ってくれ」
「あぁ、了解した」

 そして俺は、小田に連れられ、その獲物が現れる駅へと向かった。



 向かった先は、丸井橋駅。高層ビルの立ち並ぶ、ビジネス街だ。

 時刻は19時。駅構内は帰宅を急ぐサラリーマンで混雑していた。

「ターゲットは大体この時間に現れるんだけど…、おっ、丁度いい、ターゲットが来たよ」

 幸運なことに、ターゲットがホームに現れたらしい。小田が興奮した様子でターゲットの女性を指差した。


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 その女性は女性用のビジネススーツを着ていることから、どうやらOLのようだった。
 ブラウスがはち切れんばかりの巨乳に、タイトスカートから伸びる長い脚。特にそのストッキングに包まれたむちむちの太股は、男なら誰でも撫で回したくなるほど魅力的だった。やや釣り目がちだが顔も相当な美人で、短めの髪型にも清潔感がある。

「ほう…、なかなかいい女だな」
「だろ?でもあの女、とんでもない警戒心だよ。あのデカ尻に少しでも手が触れようもんなら、即、お縄だね」

 そう言うと、小田は忌々しそうにあの女を睨んだ。

 そうこうしている内に電車が到着し、あの女も乗り込もうとしていた。

「それじゃあおやっさん。いってくるよ」
「ああ、くれぐれも気をつけてくれよ」

 心配する小田の声を背中に受け、俺も同じ車両に乗り込んだ。



 車両内はやはり満員だった。ほとんどがこの街のビジネスマンらしく、男性の割合が圧倒的である。

 ターゲットの女は周囲をビジネススーツのおっさん共に囲まれながら、窓の外の暗闇を眺めていた。俺は人の合間をすり抜け、女に近づく。

(ふむ……改めてみても、いい女だな)

 背後からその姿を眺めても、この女の肉感的なプロポーションに驚かされた。
 タイトスカートの上からでもその丸みを主張している尻肉は、思わず触りたくなるような魅力を秘めている。さらに高級そうな香水の香りも漂い、むさ苦しい車内において、この女の周囲だけがさながらオアシスのようであった。

(よし…、とりあえずは様子見だ)

 俺は満員電車に揺られる振りをして、片肘で女の腰に触れてみた。

――ああ……むさ苦しいわね……。これだから満員電車って嫌いなのよ……!

 女の軽い怒気を含んだ思考が俺の脳裏に流れ込んできた。

 女の名は緋川京子(ひかわきょうこ)。28歳。この街に本社を置く某有名商社の営業部に勤めている。数々の営業実績から、その若さで課長のポストを任されている。

 性格はキツめで、多少短気なところがある。仕事一筋なためか現在はプライベートで異性との交際はない。しかし本人はそれでも構わないと思っているようだ。

(なるほど……典型的なキャリアウーマンというやつか)

 仕事が順風満帆かというとそうでもなく、日ごろからストレスを溜め込むことも多いらしい。

――あぁ…今日は森川がヘマばかりするせいでイライラするし、なにかスカッとすることはないのかしら……。

 森川というのは部下の名前だろう。使えない部下の尻拭いをさせられることが多く、それが彼女を苛立たせる大きな原因のようだ。

――そういえば…、この前、あろうことかこの私に痴漢してきた下衆野郎がいたわね…。

――あの男が警察に突き出されたときの情けない顔ったらないわ…。うふふ、またあの時みたいなスリルがあって面白いことが起きないかしら……。

 やはり、この女が小田の仲間を警察に突き出したのは本当らしい。

 小田はこの女を警戒心の強い女だと言ったが、それは違う。この女は痴漢を警戒などしていない。むしろ隙あらば痴漢の現場を押さえ、警察に突き出そうとしている。この女は根本的に男を見下しているのだ。

(ふん……面白い。やってやるよ)  

 捕まった痴漢の敵をとろうなどとは微塵も思わない。だが、この女の挑発的な態度が、俺の痴漢師としての本能に火をつけた。

*

(さて……どうしたものか)

 京子の背後から、目の前の獲物をどう調理しようか考える。

 この女は日頃から鬱憤が溜まっており、痴漢を捕まえることで自らの欲求不満を解消しようとしている。つまり、普通に痴漢をしていたのではこの女の思う壺だ。

(ふん、中途半端にやるからいけないんだ。向こうがこちらの隙を伺っているのなら、逆に相手の隙を作り出してやるまでだ)

 俺は自分の顔を鼻息が当たるかというほどに女の頭部に近づけた。そして、大胆にも女の耳たぶを軽く甘噛みした。

「ひゃぅっ…!?」

 京子が小さな悲鳴をあげる。俺は悟られないようそっと隣の男の後ろへ移動した。

「あの…、どうかなされましたか?」
「あっ、い、いえ……なんでもないです……」

 突然女性が悲鳴をあげたものだから、隣の男が気になって声を掛けていた。他にも周りの数人が京子の顔を怪訝そうに覗き込んでいる。

(くくっ…、これで少しはやりやすくなっただろう)

 恥ずかしさから京子の顔は紅潮している。そればかりか、そわそわと落ち着かない様子で視線を彷徨わせている。

 俺は再び京子の背後に密着した。

――もう…、さっきの誰なのよ…。変な声出ちゃったじゃない…!

――まったく……立ったまま寝ぼけてたのかしら…。困った人もいるものだわ……!

 やはり京子は相当気が動転しているようだ。耳たぶを甘噛みしたのがまさか痴漢だとは夢にも思っていないだろう。

――ああもう…、今痴漢なんてされちゃったら困るわ…。もう大声なんて恥ずかしくて出せないし……。

(よし……今がチャンスだ)

 京子の心に隙が出来ていることを確信した俺は、さっそくその魅惑のボディに手を出すことにした。

 まずは、そのむちむちと実った巨尻をタイトスカート越しに鷲づかみにした。

「ひぁっ……!?」

 そして、間髪入れず手をスカートの中に差込み、尻の割れ目に指を這わせた。

「んっ、あぁっ…」

 京子の口から思わず吐息が漏れる。俺はさらに指先をぐにぐにと動かし、京子の秘裂を布越しに摩擦した。

――んっ…やだ…痴漢…!?いや……急にこんな激しくするなんて…、今までの奴とは違う……?

――やだ、そんなとこ触っちゃ……。あぁ…、また変な声出ちゃったじゃない……!

 突然の激しい愛撫に、京子は動転している。さっきまでの痴漢を捕まえてやろうという意気込みはすっかり消えうせてしまっている。

(くくっ…これでもうこっちのものだ)

 俺は空いた方の手で、ブラウスをぱつぱつに押し上げている乳房を掴んだ。そしてそのまま張りがある巨乳を乱暴に揉みしだく。


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「んぁっ…はぁっ……」

 京子の口から熱い吐息が漏れる。この女、むちむちの下半身にばかり目がいくが、胸もかなり大きめで感度も良好だ。

 俺は指先を巧みに使い、衣服越しにブラのカップ部分をずらした。そして、ぷっくりと膨らんだ乳首を摘みあげる。 

「んんっ…!?あぁんっ…!」

――ちょっと…なによこいつ……、乳首まで……触るなんて……!?

――ふぁっ…ダメ…、身体が痺れちゃって……、抵抗できない……!?んっ、んぁぁああっ…!

 京子の身体が快感に支配されだした。割れ目からは愛液がじわりと染み出し、俺の指先を湿らせている。

 俺は中指と薬指の二本を弧を描くように回し、濡れた膣口を撫でて刺激する。と同時に乳房を激しく揉みしだくことも忘れない。

――はぁっ、あぁっ、こいつ…!痴漢のくせに上手じゃない……!

――あぁっ…、ダメっ…そんな激しくされると、イカされちゃぅうっ…!

「あっ、はぁっ…、んふぁ…っ…」

 京子の頬が上気に、愛撫の度に甘い声が漏れ出す。俺はほらイケと言わんばかりに、責めの手を激しくしていった。

「んんっ、んふぅぅうううんっ!」

 京子の身体が大きく震えた。どうやら軽く絶頂を迎えたらしい。

「んっ、んぁぁ……」

 荒い吐息を吐きながら、京子が脱力する。脚をがたがたと震わせ、身体を支えようとした俺に背中を預ける。

――はぁ…あぁ…痴漢に…イカされちゃったわ……。

――こんな……痴漢なんかにいいようにやられるなんて、今まで無かったのに……、悔しい……。

 京子の脳裏が敗北感に満たされる。いいように身体を弄ばれたあげく車内でイカされるなど、京子にとっては言い様のない屈辱だろう。

(ふん……、俺の勝ちだな) 

 これ以上ないファーストコンタクトに満足した俺は、頃合を見計らって京子の傍を離れた。


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