夕暮れ時の桜川駅。
プラットホームは帰宅の途につく学生やサラリーマンで溢れる。
この駅が最も賑わう時間を狙って、俺は獲物探しに来ていた。
「やっぱりこの時間は人がいっぱいだね~。これだけいれば、エイジのターゲットもすぐ見つかるかもねっ♪」
俺の隣では、美久が楽しそうに辺りをきょろきょろと見回している。
今までの獲物探しと決定的に違うもの、それは美久という相棒ができたことだった。と言っても、相棒を頼んだ覚えなどなく、一方的に付いて来ているだけだが。
ぺちゃくちゃと話しかけてくる美久を適当にあしらいながら辺りを伺っていると、一人の女子校生らしき少女が俺の目に止まった。
この辺りの学園だろうか、おしゃれな制服に身を包んだロングヘアーの少女が、電車の到着を待っている。
彼女を見てまず気が付くことは、洒落た制服に似つかぬ野暮ったい黒縁眼鏡をかけていること。注意深く観察してみると、髪型はただ伸ばしただけにも見えるし、化粧っ気も薄い。おまけにいかにも気弱そうな表情など、どうにも地味目な印象を受ける少女だった。
(ふむ……、一見すると、どこにでもいそうな地味目な女子校生…。しかしあの少女、どこかでみたことがあるような……)
おそらく顔立ちは整っているだろう。しかし一見しただけでは、到底俺の獲物に相応しいよう女ではない。それなのに、どうにもあの少女が気にかかって仕方がない。それがなぜなのかは皆目検討もつかないのだが……。
「ん?どうしたのエイジ。あの子が気になるの?」
少女を見つめたまま考えに耽っていると、どうやら美久も俺の視線の先の少女に気づいたようだった。
「う~ん。なんか地味だね~。エイジってば、あんな子がタイプなの?」
年上の女性に対して酷い言い様だと思ったが、彼女に抱く感想としては美久も俺と同じようだった。
「あれ……?でも、あの人、な~んか、見たことあるような……」
「なに…?」
美久もあの少女に対しなにか思い当たる節があるようだ。しかしそれが何かはわからないようで、ただじーっとあの少女を見つめている。
「アタシちょっと近くで見てくるっ。エイジはそこで待ってて」
「あっ……おいっ」
俺の制止を振り切って、美久が少女の元へ向かっていった。
美久は少女に気づかれないように近寄ると、じろじろと角度を変えながら少女を観察した。そして突然、なにかに気が付いた美久は、目を見開いて猛ダッシュでこちらに帰ってきた。
「エ、エイジっ、大変大変っ!あの子が誰だか思い出したよー!」
「本当か。で、誰なんだ」
「それが聞いてびっくりっ!アサミンだよっ、アサミン!」
「アサミン?」
「うん。眼鏡かけてるし髪型も違うけど、たぶんそうだよ」
興奮した様子で話す美久だが、アサミンが誰なのかわからない俺はポカンとしてしまう。あたかも有名人であるかのような口ぶりだが、そんな名前、聞いたことがない。
「えっ……、もしかしてエイジ、アサミン知らないの……?」
「あぁ」
「そ、そうなんだ……。イマドキの子は皆知ってるよ?」
知らなくて悪いか、と言いたくなったが、そんなことを言われてしまっては口を噤むしかない。これでも、まだ20代なのだが……。
「ほらほら、テレビにもよく出てるでしょ? SAKURA乙女 のアサミンだよ」
「サクラオトメ……?ああ、あれか……」
その名前でようやく理解した。
SAKURA乙女。今芸能界を席巻するアイドルグループの一つ。その特徴はとにかく大人数。メイングループは24人のメンバーで構成されるが、その下にはさらに多くの研修生が存在する。さらにグループは一つに留まらず、全国各都市にその姉妹グループが点在している。そしてこの街、桜川を中心に活動するのがSAKURA乙女だ。
(なるほど、あのグループの一員か。それならばどこかで見覚えがあるのも頷ける)
「何を隠そう、アサミンはアタシの押しメンだよっ。まだまだ人気は下のほうだけど、きっとこれからセンターを争うようになるよ」
アサミンについて話しながら、美久は目を輝かせている。ちなみに押しメンとは、自分のお気に入りのメンバーのことを言うらしい。
「あっ、アサミンの写真、見る?とっても可愛いんだよ」
美久はバッグからスマホを取り出し、俺にアサミンとやらの画像を見せる。
画像には、ツインテールを揺らして踊る、活発そうな少女が写し出されていた。
「きっと今は劇場の帰りだろうね~。あ、SAKURA乙女ってこの街に専用劇場持ってて、毎日公演してるんだよ~」
アイドルに疎い俺に、美久が嬉しそうに解説する。
「しかし、あの姿は到底アイドルには見えないな」
「う~ん、アタシもちょっと意外。アサミンって、テレビとかじゃすごく明るい元気キャラだから」
「ほう……、あんな地味そうな子がか」
まさかと思ったが、ファンである美久が言うのだから本当なのだろう。
「アイドルもプライベートじゃ案外、ああいう子が多いのかもね~。それとも、目立たないようにわざと地味になってるのかな」
少女の方を見つめ、美久が推察する。
そうこうするうちに電車が到着し、少女がそれに乗り込もうとしていた。
(ふん、アイドルか…。面白い、さらに興味が沸いてきたぜ)
俺もその電車に乗り込もうと歩き出すと、美久が慌てて制止した。
「ちょ、ちょっとエイジ、まさか……」
「ああ。あの子を俺の最初の獲物に決めた」
「ええぇーっ!相手はアイドルだよっ?まずいってー」
「それはまだ分からないだろう。それに、俺にとってはそんなもの関係ない。美久、お前はもう帰れ」
制止する美久を押しのけ、乗車口へと向かった。好きなアイドルが痴漢されるというのは美久にとっては複雑な気持ちだろう。だが、そんな状態の美久がそばにいても足手まといにしかならない。美久も俺の気持ちを察してくれたのか、追いかけてはこなかった。
*
満員電車に乗り込み、獲物を探す。
(いたぞ……)
ターゲットを発見し、人の合間をすり抜け、近づいてゆく。
少女は人波に押され、乗り口とは反対側のドアの前で窮屈そうに立ち尽くしていた。
(さあ、始めさせてもらうぞ。まずはお前のことを教えてくれ)
気配を絶ち、少女の背後に陣取る。
片手で、腰の辺りに触れ、情報をさぐりだす。
――はぁ……今日の公演も疲れたな……。
――今日もお客さんは私を見てなかった……。やっぱり、ステージの端のほうで踊ってる子なんて興味ないよね……。
脳内にスピーカーがあるかのように、少女の思考が流れ込んできた。
彼女の名は山吹麻美(やまぶきあさみ)。美久が言っていたとおり、アイドルグループSAKURA乙女の一員のようだ。この近辺の学園の二年生で、学校へ通いながら、放課後はアイドルとして活動しているようだ。
性格は内向的。今の思考からもわかるように、自分に自信の持てないタイプのようだ。
(自分に自信が持ちたい…。だから勇気を振り絞ってアイドルになったのか)
だが、結局は今のように劣等感を抱いてしまう。どうやら、このままズルズルとアイドルを続けるか、すっぱりと引退するかで悩んでいるらしい。
美久は押しメンだといっていたが、彼女はお世辞にも人気メンバーとは言えず、ライブでもテレビでも常に脇のほうにポジションをとっているらしい。
(全く、世の人間は見る目がないな)
近くで見ると、この子は最高の素材だということがよくわかる。野暮ったい眼鏡で隠れてはいるが、ぱっちりと大きな瞳に、凛とした顔立ち、誰が見ても美少女の部類だろう。
おそらく、彼女は少しのきっかけで化ける。それこそ、あんなそこらの女の寄せ集めグループにはもったいないぐらいに。
(やはり俺の目に狂いはなかった。さっそくだが、身体のほうも調べさせてもらうぞ)
俺は麻美の尻に手を添えた。麻美は一瞬肩を震わせたが、構わずスカート越しの桃尻を撫でる。
――あ……後ろの人の手が、お尻に当たってる……。
麻美の尻はやや小ぶりだが、丸々としたいい形をしていた。弾力のある尻肉はアイドルらしくほどよく引き締まっており、きゅっと上向きな尻たぶは若さに溢れている。グラビアの仕事があるかはわからないが、ビキニを穿くと映えそうな、むちむちのいいお尻だ。
俺は指先にやや力を込め、バレーボールのような尻を掬いあげるように撫でまわした。
――え……お尻に当たってる手が動いてる……?
――やだ……お尻の形を確かめてるみたい……、ま、まさか…痴漢……?
(ふん、気づくのが遅いぜ)
今更きづいたところで、俺は手を緩めるつもりはない。むしろ、尻肉に食い込ませるほどに強く揉みしだいていく。
――あぁ……どうしよう…、大声出すと迷惑だし……。
――ふぁあっ…だんだん強くなってるよぉ……んん……。
(ずいぶん気の弱い娘だ。まぁ、こちらとしてはやりやすいがな……)
助けを求めることもできず、少女はされるがままに尻を揉まれる。強く尻肉を捏ねまわしているうちに、頬は赤く、呼吸も荒くなっていった。
俺は桃尻を撫でる指先を尻の割れ目に沿って下ろしていき、パンティーのクロッチ部分に触れさせた。
「ひゃぅううっ…!?」
これには、懸命に声を抑えていた麻美も思わず嬌声を発した。若干アニメ声だが、アイドルらしい高く可愛らしい声色だ。
「へぇ……可愛い声をだすじゃないか」
少女の耳元に口を近づけ、小さな声で囁く。その瞬間、少女の心境に変化が生じた。
――え……この人…私の声を、褒めてくれた……?
――やだっ…そんなとこ触っちゃ、ダメなのに…っ……。
「ふぁ、あぁぁっ……」
さらに秘部を擦ってやると、麻美は徐々に甘い声を漏らし始めた。
「ふふ……その可愛い声をもっと聞かせてくれ……」
パンティー越しに、マ○コの割れ目部分だけを重点的に擦りあげる。秘裂からは徐々に愛液が染み出し、パンティーに染みを作り始めた。
――あぁ……そんな、痴漢さんなのに……、褒めてくれて……嬉しい……。
――私の声、この人にもっと聞かせたい……もっと、もっと触って……♥
麻美の目がトロンとする。俺はここぞとばかりにパンティーをずらし、陰唇を直接愛撫する。
「やぁぁ…、あっ…あぁあんっ……」
麻美の悶えは止まらない。俺は空いたほうの手を胸へと伸ばした。制服のシャツ越しに形のいい乳房を揉む。
――あぁ、おっぱいも触られてるよぉ……
麻美の胸はCカップで、美久よりは少しだけ大きい。美久同様にまだ発育途中で、張りがあって揉み甲斐のあるおっぱいだ。
(なるほど、胸も尻も素晴らしい。こいつは大成する、…いや俺が大成させてやる)
秘めたる欲望を開放させてやることで、この少女はアイドルとして一皮も二皮も剥けるにちがいない。胸もマ○コも成熟しきっていないが、それでこそ痴漢のしがいがある。
俺は真っ白な雪原に足を踏み入れるような気持ちで、麻美の魅力を秘めた乳房や陰部を愛撫していく。
「やぁぁ……あぁっ、も、もうダメっ…、ふぁああ……」
二点を激しく責めたてていく内に、麻美は絶頂が近づいてきたようだった。
――あぁ、ダメ……痴漢さんにいっぱい触られて、気持ちいいのきちゃうっ、ふぁ、あぁあああっ。
「あぁっ、あふぅううううんっ…!」
一際大きな喘ぎ声をあげ、麻美は絶頂に達した。ドアに身体を預け、アソコから愛液を垂れ流しながらビクンビクンと身体を震わせている。
程なくして、電車が次の駅へ到着した。
「ふふ、派手にイッたな…、麻美」
声を掛けると、朦朧としていた麻美がバッと俺の方を振り返った。いきなり名前を呼ばれたことに驚いたのだろう。
「明日、もう一度この車両のこの場所に来い。俺がお前の魅力を引き出してやる」
そう麻美に告げて、俺は電車を降りた。
*
自宅に帰った俺は、小田の携帯に電話をかけた。
「やあエイジ君。連絡をくれたのは初めてだね。うれしいよ」
「気持ち悪いことを言わないでくれ。切るぞ」
「ゴメンゴメン。で、なにか用かい?」
「あぁ、ちょっとおやっさんに手伝って欲しいことがあってな」
「おおっ、ってことは仕事だね。エイジ君の依頼なら、拒む理由はないよ」
なぜか上機嫌の小田に明日の計画を伝える。俺一人でも出来ないことではなかったのだが、少しでもリスクを抑えるため、人手を要請した。
「ああ、それくらいお安い御用だ。それじゃ、僕は仲間たちに連絡しておくよ」
「あぁ、よろしく頼む」
小田は快く引き受けてくれた。これなら、明日は存分に楽しむことができそうだ。
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