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いちろぐ。

学園もの

第11話


 先週は、北條エリカを墜とすため、情報収集を中心に行動した。そのほとんどが優奈たちから得た情報だったが、おかげでエリカの行動パターンをかなり絞ることができた。

 ここまで優奈、七夏、楓の3人を順調に奴隷化し、俺はこのままエリカもなんとかなるだろうと楽観的な気分になっていた。しかし、先日のエリカの挑発的な態度を受けて、俺の甘い考えも一蹴された。エリカは理事長・緋川と思想が似ており、俺をクビにすることに執念を燃やしている。それ故に、タイムリミットが近づいても落ち着いた態度を見せる俺に、焦りを感じているのだ。

(こちらから早めにアプローチをかけないと、エリカの奴、何をしでかすかわからないからな…)

 仮に今回の学生会議で俺のクビが免れたとしても、理事長やエリカは俺をクビにしようと躍起になるだろう。ただ生き残るだけでなく、二人の心まで屈服させてやらないと、俺にとっての真の平穏の日々は訪れないのだ。



 そして翌週の放課後━━。

 俺は行動拠点でもある保健室にいた。その手には超小型のビデオカメラとメモリーカードが握られている。

「さて…、面白いものが取れてるかな」

 ノートPCを起動し、メモリーカードをセットする。撮れている映像しだいでは、これがエリカ調教に向けての、最初の足がかりになる。

 期待にはやる気持ちを抑えながら、再生ボタンを押した━━。






 北條エリカが生徒会室に現れた。今日は一人で書類仕事などの雑務を行う予定なのである。

 生徒会長であるエリカは、他のメンバーのように部活動に所属していない。そのため、書類の確認や報告書の作成といった仕事は生徒会長自ら行うことが多い。しかし、エリカはこのような仕事も嫌いではなかった。完璧主義者であるエリカは、生徒会に寄せられる意見書を始めとして、すべての情報を把握しておきたいと思っていたし、学生という身分であるが、自分がこの学園を動かしているという自覚もあったからだ。


「あら……?」

 ドアを閉め、室内に数歩足を踏み入れたエリカがいつもと違う室内の様子に足を止める。

「なにかしら…この匂い…」

 僅かではあるが、いつもと違った匂いがする。頻繁にここを訪れている自分でしか気づかないなほど微小な香りであるが、確かにいつもとは違う。しかしそれは、鼻をつくような不快な匂いではない。むしろ、気分を安らげるようなフローラルな匂いであるように感じた。

(嫌いな匂いではないわ…。誰かがお香を炊いたのかしら…)

 おそらく、気分転換にいつもと違う匂いにしようと、生徒会の誰かがお香を炊いたのだろうと、このときのエリカはそれ以上詮索することはなかった。

「ふぅ……」

 いつもの席へ腰掛け、大きく息を吐く。疲れているわけではないが、なぜか、エリカの脳裏に引っかかるものがあった。

(神藤、有……。なぜあの人はあそこまで余裕でいられるのか……)

 近頃の神藤の様子がどうにも気にかかる。あと一月足らずでクビになるというのに、あそこまで楽観的になれるものなのだろうか。彼は以前までは学生にも慕われ、充実した生活を送っているように見えていた。伝統であるこの学園での自分の地位を失うことに、未練などはないのだろうか。

(なにか、自分はクビにはならないという根拠でもあるのかしら…。それとも…)

 すべてを諦め、楽観的になっているのだとしたら、それでいい。しかし、そうでないとしたら…。

 かつてのこの学園は、伝統ある女子学園であった。やがて共学化されるのだが、新たに赴任した理事長はこの学園をもとの姿に戻そうとしていた。

 その思想に共感し、エリカは生徒会長になった。今回の策略が失敗することは、理事長の期待を裏切ることにもなる。

(なにか策があるのか…、念には念をいれるべきかもしれないわね…)

 まさか生徒会のメンバーの中に、神藤解任に反対票を投じる者はいないと思うが、もしものこともある。

(……っと、いけないいけない)

 ついつい考えすぎている自分にエリカはハッとする。今は、溜まっている仕事を片付けなければ。第一、生徒会のメンバーは自分が信頼を置く者たちばかりなのだ、なにも心配することはない。

 
 エリカは席を立ち、部屋の隅にあるコーヒーメーカーの元へ向かった。

(あら…、もうこんなに減ってたのね)

 コーヒーは後一人分しか残されていなかった。自分の記憶ではあと数袋は残っていたはずであった。

(やっぱり……昨日だれかここに来てたのね)

 先ほどの匂いのこともあるし、生徒会の誰かが昨日ここにやってきて、そのときにコーヒーも飲んだのだろう。誰かはわからないが、生徒会の活動日以外でもここへ来て仕事をするなんて感心なことだと、このときのエリカは思った。

 エリカは残された一袋のコーヒーをフィルタと一緒にセットした。ほどなくして出来上がったコーヒーをカップに注いで机へと運ぶ。
 再び椅子に座ったエリカは、まずコーヒーの香りを楽しんだあと、カップに口をつけた。

「おいしい…」

 この部屋に用意してあるコーヒーは自分が選んだもので、味も香りも絶品だ。これを飲むと心が安らぎ、仕事にも集中できるだめ、エリカはここで仕事をするときは必ず飲むようにしている。


 コーヒーを飲み干した後、エリカはしばらくボーっとしていた。いつもはここで仕事モードにスイッチが切り替わるのだが、なぜか今日はそうならない。

(なんだか、今日は暑いわね……)

 一気に飲み干したからだろうか、なぜだか身体の芯から温まってきている気がする。うっすらと汗も滲んできたため、エリカは羽織っていたブレザーを脱いだ。 

(なんだか頭がボーっとする…。熱でもあるのかしら)

 体温の上昇と比例して、思考力が鈍っていることにも気がついた。

(あぁ…だめだわ。今日はもう帰ろうかしら)

 こんな状態では仕事に集中できそうにない。どうしても今日中に済ませたい仕事もあったため、非常に心残りではあるが。

(まったく……こんなことになったのも、すべてあの男のせいよ…!)

 なぜだかわからないが、神藤の顔が脳裏に浮かんだ。あの男に頭を悩まされているために、体調を崩してしまったのかも知れない。

(神藤先生……、気に入らないわ……)

 個人的に神藤に恨みがあるわけではない。しかし、エリカは根本的に男嫌いであり、自分と理事長の理想の前に、あの男は必ず立ちふさがって来る存在と思えた。顔立ちは整っているようだが、飄々として掴み処のない態度がどうにも癪にさわる。

(あぁ…神藤先生のことを考えていたら、また熱くなってきたわ……!)

 やはり、身体の不調の原因は神藤なのだ。神藤のことを考えると、体の、特に下半身から熱を帯びてきている気がする。

 気がつくと、エリカの片手がスカートの中に入り込んでいた。

(え…、なに、これ……)

 指がショーツ越しに自分の性器に触れ、ビクリと身体が震えた。無意識の自分の行動にエリカは戸惑う。

(私、なんでこんなことを……。なんなの、この変な感じ……)

 身体の奥底がゾクゾクとする。いままで経験したことのない奇妙な感覚だが、不思議と不快なものではなかった。

(え……濡れてる……?)

 アソコに触れた指先が湿っていることに気がついた。

(ああ……、だめ、もっと触りたいわ……)

 そう思ったとき、すでに指は動いていた。クロッチ越しに、自らの指が筋をなぞりあげる。押し寄せてくるこの奇妙な感覚を、ここで止めたくない。

「…ふぁ……、あぁ……」

 気がつけば、声が漏れていた。その自らの声が、エリカに羞恥心を思い出させた。

(そんな……、私…学園で……オ、オナニーを……)

 自らの行為を客観視して、顔がカァッと熱くなる。経験こそないが、自慰行為というものは知っている。初めての自慰行為を、自分は学園の生徒会室で行おうとしている。

(ダ、ダメよ……、生徒会長ともあろう者が、こんな…はしたない行為を…)

 以前、学園の数少ない男子が、教室の隅で猥談に興じているのを目にしたことがエリカにはあった。神聖な学び舎でそのような下衆な会話をする彼らに、嫌悪感を覚えた自分を思い出した。

 しかし、今の自分はどうだろうか。猥談よりもさらに下品な、行為そのものに及んでいるではないか。

(そんな……こんなこと今すぐやめなければ……)

 そう思ってみても、身体は言うことを聞かなかった。昂る劣情を沈めようと、指先が激しく淫裂を擦っている。

「ふぁっ……んっ…あぁ……」

 口から漏れ出したはしたない声が部屋に響き渡る。自分がこんなに甘ったるい声を出せることに、エリカは驚いた。

「あふぁ…、だ、ダメなのに……んんっ…」

 もはや理性も崩壊し始めていた。身体はすでに快感に支配されようとしている。
 いつの間にか、空いたほうの手は、ブラウスのボタンを外し、胸を露出させていた。それだけでは終わらず、ブラのカップまで擦り下ろされてしまう。


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「あぁ……胸まで出ちゃったわ……」

 大きなバストと、桜色の乳首が外気に触れる。こうなっては、誰かに見られても言い訳はきかない。しかし、今のエリカには、見られた後のことなど考えられなかった。

 片手で秘部をこすり、もう片方の手は乳房を掴む。初めての自慰行為でも、快感を得られるポイントは本能的にわかっているようだった。

「んんっ…あ、あぁっ…!」

 乳首を摘むと、エリカの身体がビクッと震えた。それに連動して、秘裂からも愛液がじわりと分泌される。すでにショーツはビショビショになっており、指の動きに合わせてクチュクチュといやらしい水音が部屋に響き渡った。

「あぁ…ダメ……、なにか、熱いのがくる……」

 身体の奥底から、大きな波のようなものが押し寄せてくるような気がした。得体の知れない感覚にエリカは戸惑うが、もはやこの衝動は止められそうになかった。

「あぁ……ダメっ……くるっ、あっ、あぁああああっ!」

 快感がピークに達した瞬間、頭が真っ白になった。そしてすぐ、身体がビクンビクンと痙攣した。


「はぁっ……、あぁっ……」

 荒い呼吸のまま、机に突っ伏す。初めての経験だが、これが絶頂なのだということは理解できた。

(あぁ……す、すごいわ……)

 学園でこのようなことをする罪悪感は多少はあったが、それよりもこの快感に対する感動のほうがエリカにとっては大きかった。


(こんなことダメなのに……。だけど、癖になりそうだわ……)

 ぼんやりとした思考の中で、エリカは自分の中で何かが芽生え始めているのを感じていた━━。






 映像の再生が終わった。画面は机に突っ伏したエリカを映したまま停止している。

「くっ…くくく……、こいつは面白い……!」

 映像を見終わった俺は、胸の高鳴りを抑えることができなかった。

 昨日、俺はエリカの弱みを握ってやろうと、生徒会室に小型ビデオカメラを設置した。情報収集をしていた甲斐あって、エリカが生徒会室で一人になる時間、どの椅子に座るかなどはすでに確認済みだった。
 しかし、ただ盗撮するだけでは意味がない。エリカが俺に従わざるを得ない状況をつくるためにも、エリカの醜態をこのカメラに収めたかったのだ(因みに、超高性能なこの小型カメラは同僚の高田に無理を言って借りたものだ)。

 俺はまず、生徒会室に先回りして、媚薬入りのお香を炊いておいた。匂いは弱めのものなので、不自然に思う可能性は低い。
 そしてさらに、生徒会室にあるコーヒーに強力な媚薬も混ぜておいた。優奈たちから得た情報では、エリカは生徒会室にくると最初に必ずコーヒーを飲むのだという。

「エリカの奴、まんまと俺の罠にかかりやがったな…!」

 お香とコーヒーのダブル媚薬によって、エリカの理性は崩壊した。部屋に誰もいないことをいいことに、エリカは自慰行為に興じてしまったのだ。それも、大きなバストを露出した淫らな姿で。

「ふふ……それにしても、こいつは出来すぎだな…」

 正直、ここまでうまくいくとは思ってもいなかった。悶々とした気分にさせることを何日か続ければ何か起こるかもとは思っていたのだが、まさか一日目からこんなに派手なオナニーを見れるとは。

「あとは……こいつを脅迫材料にエリカに迫ってやるだけだな」

 エリカ調教に向けて、俺はこれ以上ない強力なカードを手に入れたと言える。この映像をネタに迫れば、あのエリカであっても強気な態度では出られまい。 


(やっと……、やっとエリカに一泡吹かせてやれそうだぜ……)

 エリカのオナニーショーを見たおかげで、俺の下半身はみなぎっていた。そして何より、生徒会一かもしれないエリカの極上エロボディを堪能できそうだということに俺は興奮していた。

(ふん…待ってろよ…エリカ……!)

 夕日が差す保健室で、俺はグッと拳を握り締めた━━。
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