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いちろぐ。

学園もの

第8話①


 昼休み。
 俺は霧島楓をいかに調教するか、本格的に作戦を練っていた。いつも通り遊びに来た成瀬さくらと、新たな奴隷となった三枝佳苗も一緒だった。

「楓先輩も、先生とエッチすれば絶対に心を開いてくれると思うんだけどなー」
「そうよね…。でも、『神藤先生とエッチしなさい』って言うわけにもいかないしねぇ…」

 並んだ二人が仲良く首をかしげる様子は、さながら親子のようだった。たれ目がちなおっとりとした眼差しも、学園では並ぶ者がいないほどの爆乳もそっくりだ。

「あ、そういえば」

 何か思い出したように佳苗が手を叩く。

「ん?なにか思い当たることがあるのか?」
「はい…。たしか、陸上部の顧問の先生が言ってた気がするんです。『霧島は最近思い悩んでるところがある』って…。霧島さんのことだから、たぶん誰にも相談はしてないんじゃないかしら」
「なるほど……」

 楓に悩みがあることは前々から推測していたことだったが、憶測の域を出ないでいた。しかし、顧問が言っている以上、これは事実というしかないだろう。

「あ、じゃあさ、じゃあさっ!佳苗先生が楓先輩の悩みを聞いてあげようよー。佳苗先生だったら、楓先輩も心を開いてくれるはずだよっ」

 あたかも名案が浮かんだかのようにハイハイとさくらが声を張り上げる。勢いよく身を乗り出した拍子に、制服に押し込まれた爆乳がぷるるんと弾んだ。 

「まあ、そうだな…。とりあえず、佳苗のほうから楓にアプローチをかけてもらえるか?」
「ええ、わかりました。私としても、悩んでいる霧島さんは放っておけないですから」

 俺の提案に佳苗はすぐさま了承してくれる。そもそも、一匹狼な楓に近づくことのできる人材と見込んで佳苗を味方につけたので、ここまでは俺の計画通りだった。あとは佳苗がどれだけ楓の心を開いてくれるか、あわよくば俺の差し出した媚薬を口にするほどに油断させてくれるとありがたいのだが。

「そうか、期待してるよ、佳苗」
「はいっ、まかせてくださいっ。でも、そのかわり…」

 期待を孕んだ眼差しで佳苗が見つめてくる。隣もさくらもニヤニヤとしながら俺たちを見つめる。

「ああ、わかってるさ。上手くいったら、たっぷりと可愛がってやるよ、佳苗」

 そう言うと、とたんに佳苗の頬に赤みが差す。

「せんせ~、さくらも、さくらもー!」
「ああ、もちろんさくらもだ。二人一辺に相手をしてやるぜ」
「わーい、楽しみー♪がんばってね、佳苗先生っ」
「ええ、期待しててね、成瀬さん」

 仲良く微笑みあう二人を見ていると本当に親子のように見えてくる。熟女とロリの爆乳を一辺に味わうというのもまた官能的かもしれない。

 俄然やる気の沸いてくる俺だったが、今は佳苗の働きに全てを託し、ただ成功を祈るのみである。







 その日の午後。三枝佳苗は都合よく霧島楓のクラスの授業を受け持っていた。彼女の担当科目は国語である。

 授業が終わり、席をたって教室を出て行こうとする霧島楓を見つけ、佳苗は声をかけた。

「霧島さん、ちょっといいかしら?」
「……何か」

 相変わらずのクールな態度で楓が振り返った。後頭部で束ねた長く美しい黒髪がふわりと舞う。

「うん…、あのね。霧島さん、最近悩んでることとか、ないかしら?なんだか最近、元気が無いような気がしたから」

 少し単刀直入すぎるかと心配になった佳苗だったが、その瞬間、僅かに楓の肩が震えるのを見逃さなかった。

「私の気のせいだったら、ごめんなさいね。でも、陸上部の先生に聞いてみても、霧島さん、ちょっと思いつめてるところがあるかもって話だったから…」

 佳苗が喋っている間、楓は無言で話を聞いていた。そしてしばらくして、ゆっくりとその口を開いた。

「……確かに、部活のほうでは、最近は思うような走りはできていません。ですが、悩んでいるとかそういったことはありませんので、心配は無用です」
「そう……」

 楓が佳苗の疑問をきっぱりと否定する。
 やはり、楓の心を開くのは難しいか、と佳苗は思ったが、まだ諦めるわけにはいかない。

「それならね、霧島さん。私に霧島さんのことをもっと詳しく教えてくれないかしら?」
「私のことを…?」
「ええ。悩み相談とかじゃなくても、霧島さん自身のこと、もっと知りたいの」

 そう言ってみても、楓は佳苗の言わんとすることがよくわかっていないのか、ただ無言で立ち尽くしている。

「私、今年赴任してきたばかりだから、霧島さんともっと仲良くなりたいなって思ってたの。それに、陸上のことはわからないけど、霧島さんにとっても、自分のことを振り返ってみたりするのが、壁を乗り越える糸口になるかも知れないじゃない?」
「……」

 楓はいまだ無言で立ち尽くしている。佳苗の言いたいことはわかったが、その返答に悩んでいるようだ。

「時間はちょっとでいいから。部活の後とか」
「……そういうことでしたら…」

 僅かな沈黙のあと、ようやく佳苗の提案を楓が了承した。その瞬間、楓は心の中で小さくガッツポーズした。

「それじゃあ、今日の部活が終わったら、生徒指導室に来てくれないかしら」
「……わかりました」
「うふふ、それじゃあね」

 そう言って、その場は別れた。生徒指導室とは、校舎の隅にある半ば空き教室となっているところである。

 ひとまず、楓と二人きりになる算段がうまくいき、佳苗はホッとする。あとはこれを神藤有に報告しなければならない。作戦がうまくいきそうなことを神藤に褒められるかと思うと、思わず頬が緩むのを抑えられない佳苗なのであった。






 放課後。俺は保健室で待機していた。
 佳苗は楓と二人きりで会う約束を取り付けることに成功し、今は生徒指導室に向かっている。

「どうだ、佳苗。俺の声が聞こえるか」
「はい、ばっちりです、神藤先生」

 佳苗には小型の集音マイクとイヤホンを渡していた。これにより、俺と佳苗は離れた場所からも会話をすることができる。また、佳苗と楓の会話も俺のもとへ届けられるようになっている。

「とりあえず、今日は楓から悩みを聞きだし、佳苗に心を開いてくれるよう努力してくれ」
「はいっ。がんばります」

 やる気たっぷりと言った様子で佳苗が返答する。そうこうする内に、佳苗が生徒指導室へ到着したことが物音からわかった。

「よし、それじゃあ、楓が来るまでは待機していてくれ」

 了解、と言って佳苗が空いている椅子に座った。

 佳苗はまだ気付いていないかもしれないが、生徒指導室には媚薬入りのお香を焚いている。佳苗から楓の呼び出し場所を聞いた俺は、放課後になってすぐ、生徒指導室へ赴き、準備を行っていたのだ。

 佳苗が相手とはいえ、楓がすぐに心を開くかはわからない。が、理性を失ってしまっては話は別だ。一種のトリップ状態になってしまっては、さすがの楓でも本性をさらけ出すかも知れない。

 唯一の懸念と言えば、佳苗のほうが媚薬の効果で発情してしまうことである。そうならないためにも、楓が早く生徒指導室へ到着することを祈るのみだ。

 俺の祈りが通じたのか、それから数分して、生徒指導室のドアを開く音がスピーカー越しに聞こえた。どうやら楓が到着したようだ。

「失礼します」
「いらっしゃい、霧島さん。わざわざありがとうね。さあ、そこに座って」

 楓が着席したのが物音から伝わる。しばらく間が空いたが、先に口を開いたのは楓のほうだった。

「あの…、私のことを話すと言っても、何を話したらいいのか……」
「うふふ、なんだっていいのよ。楓さんのことだったら何でもいいの」

 佳苗の声色はとても優しく、女子生徒から人気があるのも頷ける。いつのまにか楓への呼称が『霧島さん』から『楓さん』に変わっており、佳苗なりに踏み込もうとしていることが理解できた。

「そもそも、それがわからないんです。…どうして、三枝先生が私のことを知りたいんですか?」

 怪訝そうな声色で楓が尋ねる。その口調からも楓の警戒心の高さが伺えた。

「あら、いけないかしら。私、楓さんのことを知って、もっともっと仲良くなりたいなって思ってるのよ」
「…………」
「それに、神藤先生も言ってたわ。生徒のことを理解して、すこしでも学園生活が楽しくなるよう努力するのが教師の務めだってね」

 佳苗が俺を引き合いに出すが、いつも俺に冷ややかな視線を浴びせる楓のことだから、効果は薄いことだろう。ここからでは楓の表情を窺い知ることはできないのだが。

「それを抜きにしても、私個人として、楓さんとは前からこうして話してみたかったのよ。……そうだわ、人のことを聞く前に、まずは私のことを知ってもらわないとね」

 そう言って、無言で佇む楓を前にして、佳苗が自分自身のことを語りだした。

 子供のころから夢だった教師になれたこと。教師の仕事は楽しいことばかりではなく、挫折を味わったこと。そんなとき自分を支えてくれた男性に恋し、結ばれたこと。そして、愛する男性を失ったこと。佳苗が語る自身の半生を、楓は無言で聞いていた。

(そんな佳苗も、今は俺のチ○ポに溺れているがな)

 もちろんそこまでは語らなかったが、佳苗は最後に、この学園に来れてよかったこと、そして皆が楽しい生活を送れるように自分ががんばりたいと思っていることを告げた。

「…………」

 終始無言だった楓だが、佳苗が語り終わったあとも、沈黙を貫いていた。佳苗も無理に聞き出そうとはせず、何も言わずに佇んでいる。
そして、しばらくの時間が過ぎ去ったころ、楓がゆっくりと口を開いた。

「私は……もともと、こういう性格なので、先生方には心配をかけることがあったかも知れません」

 ゆっくりと、しかし力強い口調で楓が語り出す。こういう性格とは、おそらく人と関わろうとしない性格のことを言っているのだろう。

「でも、こんな性格ですけど…、こういう風に親身になってくれる人って、今までいなかったので…、その、…今日は嬉しかったです…」

 恥ずかしそうに楓が告白する。その弱々しい声には吐息が混じっており、媚薬による興奮作用が効いてきているのが分かった。
  

「そう…。私もね、楓さんがちゃんと約束を守って会いにきてくれてうれしかったわ」
「三枝先生……」

 そういった後、二人はしばらく無言になり、僅かに荒くなった二人の息遣いだけがスピーカーを通して伝わってきた。しかし、二人の間にある距離感は着実に狭まっていると言ってもいい。

 いくばくかの沈黙の後、楓がゆっくりと口を開いた。

「あ、あの……、私、三枝先生に謝らないといけません」
「あら、何かしら?」
「その…、さっきは悩みなんてないって言いましたけど、その…、本当は、三枝先生に相談したいことがあるんです…」 

(ほう……)

 やはり、楓は悩みを抱えていたようだ。媚薬による興奮作用か佳苗の包容力によるものかはわからないが、遂に、誰にも相談できなかった悩みを打ち明けるに至った。

「…でかしたぞ、佳苗。あとはその内容を引き出してくれ…」

 小声で佳苗に指示を送る。楓が抱える悩み次第では、楓の弱みを握ることにつながり、隙のない楓を陥落させるための布石にもなり得る。そして、楓を攻略することが、同様に隙のない生徒会長・エリカ攻略の糸口にもなるかも知れないのだ。 

「謝ることなんてないのよ、楓さん。先生に、なんでも話してみて?」
「はい…、そ、その……」

 優しい佳苗からの言葉に安心した楓だったが、どうにも歯切れが悪い。それほどまでに打ち明けにくい悩みなのだろうか。

「…………」
「どうしたの?そんなに言いにくいことなのかしら」

 遂には黙り込んでしまう楓だったが、佳苗も無理強いはせず、ただ楓の様子を見守っている。

 再びおとずれた長い沈黙を経て、ようやく楓がその重い口を開く。

「あ、あの…私…、最近、身体の様子が変なんです……」
「身体の…?」

 震える小動物のような声で楓が語り出す。

「その……最近よく……ア、アソコのあたりが熱くなって、疼いちゃうんです…」
「え…?」

(なに……?)

 楓の口から発せられたのは予想外の言葉だった。今頃佳苗もその目を丸くしていることだろう。
 楓はさらに続ける。

「部活のときなんか…、走っているうちに競技用パンツが食い込んできて、擦れちゃったりすると…、その…、アソコが熱くて、集中できなくなるんです…。こうなったときに、男子とか、先生とか、男の人が近くに来たりすると、もっと疼きだして、どうにもできなくなるんです……」

 告白が終わると、再び楓は黙り込む。スピーカーから聞こえるのはさっきよりも荒くなった楓の呼吸の音だけだ。

「それは……エッチな気分になるってこと…?」
「……」

 佳苗の直接的な表現に口を噤む楓だったが、その沈黙はおそらく肯定を表している。

(ふふ…、こいつは面白い……)

 楓からの予想外の告白に、思わず笑みがこぼれてしまう。

(まさか、楓の抱える悩みが、性の悩みだったなんてな……)

 考えてみれば、思春期の女子学生ならではの悩みだった。これぐらいの年頃の女子なら、性に目覚めるのは当然のことである。しかし、楓が他の女子学生と違うのは、相談する相手がいなかったということだ。彼氏と初々しく身体を重ねあったり、自室でこっそり自慰行為に耽るという術を楓は知ることができず、ただ悶々とした毎日を過ごしていたのだ。

(なるほど…、あのときの楓は俺の目の前で発情してたってわけか、クク…)

 告白内容を踏まえて振り返ってみると、練習を早めに切り上げていたことも、俺が近づくと妙に緊張した様子だったことも、合点がいく。あのとき息が荒かったのは、練習のせいではなく、興奮状態にあったからなのだ。汗にまじって、アソコからは愛液も滲み出していたかもしれない。

(それにしても、パンツが食い込んだくらいで興奮してしまうなんて、よっぽど性欲が強いんだな…)

 性欲の強さは人それぞれだが、そんなことで発情してしまっては日常生活に支障がでるレベルだ。だからこそ楓にとっては深刻な悩みなのかもしれないが、俺にとってはむしろ好都合とも言える。

(ふふ、やはり……。優奈や七夏と同じく、楓にも牝奴隷としての素質があるみたいだな…)

 おそらく、楓の身体の敏感さは他の奴隷たち以上だろう。楓のような冷静なタイプでも、一度男の味を知ってしまえば、快楽の虜となってしまうのは確実だ。


「ご、ごめんなさい…その、変なこと言っちゃって…」
「ううん、いいのよ。それよりも勇気を出して相談してくれて、ありがとうね」

 醜態をさらしてしまったかのように萎縮する楓に、佳苗は優しい声をかける。

「楓さんが悩んでるのは変なことなんかじゃない、女の子だったら当然のことよ。私ぐらいの年になっても、そういうエッチな気分になるときだってあるんだから」
「そ、そうなんですか……?」
「ええ。でも、欲求を溜め込んだままではいけないわ。部活にも勉強にも、集中できないんじゃ困るじゃない?」

 諭すような口調で、楓に語りかける。
 今日は悩みを聞きだすだけという予定だったのだが、このまま佳苗の行動に任せてみるのも面白いかもしれない。

「せ、先生は…、そういうときは、どうしてるんですか……?」
「うふふ…、知りたい……?」

 佳苗の声色から妖艶な雰囲気が伝わってくる。おそらく佳苗も媚薬の効果が効き始めているようだ。

(ふふ、佳苗のやつ…。さすが、俺が見込んだだけはある)

 佳苗は、今この場で楓に大人の性教育を施そうという魂胆なのだろう。イヤホン越しに伝わる二人の荒い息遣いは、今にもレズセックスが始まりそうなほどの淫靡な雰囲気を醸し出している。

「…聞こえるか、佳苗。今から俺もそっちへ向かう。それまではお前の好きにしてみろ…」

 小声で佳苗に指示を送る。まもなく俺にだけ聞こえるほどの声で佳苗からの返事が返ってくる。それを聞いた俺はイヤホンを外し立ち上がり、生徒指導室へと向かった。
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