***
ある朝ベッドで目覚めると、自慢の息子(ちんぽ)の様子がおかしい。
燃え滾るように力がみなぎるというか、なんというか……
これは……『覚醒』?
~~
昨日はたしか、めずらしく遅くまで仕事をしたんだったか……
人通りの少ない夜道を帰る途中、フードを被った怪しい老人(?)を見かけた。
ふらふらと道路を渡ろうとするその老人を横目に通り過ぎようとした俺だったが、なんと、猛スピードでトラックが近づいてくるではないか!
しかも、老人もトラックも気づいた様子がない。
「ちぃっ!おい、ジジイ!あぶねーぞ!」
叫ぶと同時に俺は走り出していた。
間一髪、老人を突き飛ばした俺だったが、トラックのスピードは収まらない。
「うわぁぁぁああああ!!」
目の前が真っ白になる――
~~
記憶はそこで途絶えていた。
気が付くと、俺は一枚の紙きれを握っていた。
折りたたまれたそれを、恐る恐る開いてみる。
―
御堂雄一郎くんへ、
昨日はどうもありがとう。
君のおかげで私は救われた。
君のほうは、ちょっと危なかったようなので、私が治療しておいたよ。なに、大丈夫だ。
それと、陰茎の損傷が激しかったようなので、特別に施術しておいたよ。
いまごろ君のペニスは、『覚醒』していることだろう。
なに、外科的な手術をしたわけではないから心配するな、大丈夫だ。とある細胞を注入しただけだから。――
覚醒、だと?あのじじい、いったい俺に何をしたんだ?
やたらと「大丈夫だ。」と言われると余計不安だっつーの。
訝しがりつつも、俺は手紙を読み進める。
――
覚醒チンポの効能について記しておこう。
一、並外れた巨根となる。
二、並外れた絶倫となる。
三、覚醒チンポを目にしたものは、たちまち発情してしまう。
四、覚醒チンポを挿入されたものは、たちまち快楽の虜となる。
五、覚醒チンポから放たれた精液を膣に宿したものは、心まで君の虜となる。
どうだ、教師をしている君にうってつけの能力だろう?
もし君が選ばれし者ならば、これ以上の効能も発現するだろう。
逆に選ばれし者でなければ……そのときは、すまん。適応できずに最悪死ぬかもw――
おいおい、無茶苦茶いうなよ、じじい!
……しかし、いま死んでないということは、選ばれてない訳ではないのか?
手紙はつぎのように〆られている。
――
『英雄色を好む』
かつてこの世に君臨した英傑、支配者、あるいは独裁者と呼ばれたものたちは、皆、圧倒的な精力で女共を支配していたらしい。
もう気づいているかもしれんが、君に注入したのは、古の英雄たちの力を宿した細胞だ。
これからの君の淫欲にまみれた人生に、幸あらんことを……――
手紙はそこで終わっていた。
一見すると、にわかに信じられない内容だが、俺は確信に近い思いでいた。
それは、ドクドクと滾る俺のペニスが証明している。
……試すしかない。
はやる気持ちを抑えつつ、俺は勤め先の学校に向かった。
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